フミスタ!!!






それ以上
彼は何もいわなかった。

ただ
悲しい瞳であたしを見つめた。





あたしも何も言わなくて、

そっと


頬に彼の指が触れたとき、
彼が涙を拭ってくれていると気づいた。


あたし……


泣いてるの?



今日初めて流した涙。

あたし、泣きたかったの?


悠斗が他の女の人と
キスしたから?


悠斗と別れたから?

別れて悲しかった?


辛かった?



悠斗を好きだった。


少なくとも
付き合っている間は
悠斗を愛していた。


「………っぇ…」



あなたは
どうしてそんなに
悲しい顔をしているの?


どうしてそんなに
優しい顔をしているの?



止まることを忘れて
溢れでる涙を、


無言で拭ってくれている彼の手が


すごくすごく


冷たくて……



なんだか

すごく悲しくて



「お風呂…沸いてます…から……」



自然とそんな言葉を
吐き出していた。





静かな部屋に
私の鼻を啜る音が響く。



「温まってください」



あたしはゆっくり顔を上げて、
悲しい瞳をした彼に

ヘラッと笑って見せる。



「温まって、


嫌な事、


全部流して来てください」




そんな悲しい顔を
しないでください。


また、泣きたくなるから。


あなたの心が


泣いているから。












彼は一瞬目を丸くしたけれど


すぐに目を細め



『ありがとう』



優しく微笑んだ。