歩く。歩く。歩く。立ち止まって、歩く。歩く。歩く。
自分のことに一切の自信が無い僕は、坂本九さんの「上を向いて歩こう」を下を向いて聞きながら帰宅の途についていた。この曲を聴くと、少しは前向きになれるからだ。

今日、暫く付き合っていた女子に別れを告げられた。そして体調不良で保健室に行ったが早退をすることになり、今に至る。もう生きている心地はせず、生きる意味さえ見失ってしまった。今、どうやったら生きる意味を見つけられるのか。どうやったら楽に死ねるのか。矛盾の気持ちが自分の一つの脳に錯綜している。

「上を向いて歩こう~♪涙がこぼれないように」
気持ちを鼓舞するように歌っていた

その時だった。

足元に切符を見つけた。しかも現在の切符ではなく、かなり劣化した切符だ。試しに拾い上げると「人生列車・一枚につき一名様のみ有効」と記されていた。正直気味が悪いものであったが、興味半分僕は胸ポケットにしまい込んだ。