「……俺の顔に、なにかついてる?」
私の視線に気づいたのか、淡々と問いかけてくる先輩。
「…っ、え、いえ、な、なにもっ……」
ど、どうしようっ…
見つめすぎて気分悪くしちゃったかなっ…
容姿はまるでどこかの王子様のようだけど、ほとんど表情が動かないゆえ、まるでなにを考えているのかわからない。
「……遅刻」
「え?」
「…だから、後一分くらいで遅刻になるって言ってんの」
あっ…やばっ…
「あのっ…ぶつかってしまって本当にごめんなさいっ…!このお礼はちゃんとするので、今はとりあえず失礼しますっ…!」
月島先輩のその言葉に遅刻しそうで急いでいたことを思い出した私はペコッと頭を下げて慌てて走り去った。