ーードンッ




「キャッ!ご、ごめんなさいっ…!」


遅刻しそうになって走っていてちゃんと前を見ていなかった私は、校門のところで思いっきり誰かにぶつかってしまった。




「……別に。俺は平気」


どこか心地よくて耳をくすぐる低音ボイスに、私の身体はビクッとなる。


あまり男の人に対して免疫がないからだ。


けれど、おそるおそる顔をあげた次の瞬間、私はハッと息を飲むはめになった。




「…!」


この人、確か……


まだこの高校に入って一ヶ月も経っていないけど、その整いすぎた綺麗な顔には見覚えがあった。