甘く優しい口づけをし
ゆっくりお互いの唇が離れ見つめ合ったが…
先程より増えている住人の数と視線を感じ
余韻に浸る間もなく、2人とも我に返る。
「社長…
とりあえず会社に戻ります?」
「あぁ…そうだな」
「あ、それと。
ココは住宅密集地なので
暴走しないで静かに走ってください
危ないです」
「あ、あぁ。わかった…」
喝采に動揺しながらも
気恥ずかしい気持ちで車に乗り込むと
観衆に見送られる形で
イトカと社長は街を後にした―――
リーベンビルズに戻った2人。
イトカの帰還に驚く鮫島に
事の経緯を説明すると
初めはイヤそうな表情を浮かべはしたが
『社長が決めた事なら』と諦めていた。
総会により幹部達を納得させ
この一件は丸く納まったかのように見えたが
これで終わったワケではなく
今回の元凶で最も厄介な人物”金我”は
早速、社長の元へとやってきて―――
「柴永社長!
コレはいったいどういう事ですか!
話が違うじゃないですか!」
社長を目の前にし
怒りを露わに大声で怒鳴りつけた。



