「彼女の何を知っているんでしょうか。
 それとも、私の元で働く方々は
 ”庶民”という偏見だけで
 人の良し悪しを決めるような
 そんな人材でしたかね?」

「それは…」

「確かに彼女は
 誰に対しても物怖じせず意見を言う性格です。
 ですがそれが返って
 プラスになる事も知りました。
 彼女は、価値ある仕事をしてきました。
 それは否定するべきではない」


社長の言葉に誰も何も反論せず
俯き加減に黙って聞いている。

それでも
誰も納得していないのは
社長にはすぐにわかった。


だがもうコレ以上何を言っても
この人達には伝わらない事も察してしまう。
それが組織だから。


社長は最後に頭を下げた。


「今回このような騒動になってしまい
 混乱を招いている事は本当に申し訳ない。
 皆さんの言う”庶民”を愛したのは事実です。
 彼女には多くのサポートをしてもらい
 私自身も勉強させられた。
 だからアイツは悪くない。
 …傷つけたくはないんです」


社長の立場というより
1人の男として頭を下げ
最後まで謝罪の言葉を口にした―――