暫しお互い沈黙になり
時間だけが過ぎていく―――
話が終わった事を察し
先に口を開いたのはイトカ。
「あのー…こんな時に申し訳ないんですが…
この格好、寒くて…
着替えてもいいでしょうか…」
酒のせいか
冷えてしまったらしく
ブルっと体を震わせる。
「そうだな…
風邪を引かれても困る」
そう言って
社長はまた部屋を出ようとした…が。
ふと立ち止まり
一瞬、別の考えが頭を過る。
「待て…着替えるな」
「え…」
イトカが驚くのも束の間
戻ってきた社長に
唇を奪われてしまった。
それも
前にした”触れるキス”と全然違い
呼吸さえも出来ないほどの
熱く激しい口付け。
それは
社長の余裕の無さの表れでもある。
「…ッ、んっ
まって…しゃ、ちょ…」
一瞬離れたかと思えば
息継ぎする前にまた塞がれてしまい
舌を絡めては何度も求めてくる。
「ん゛ー…」
苦しくて必死に彼の胸を叩くと
ようやく解放。
「く、苦しかった…
急にどうしたんですか…」
「どうもこうもない。
はだけた着物で誘ったのは、お前だろ」
「え…ッ」
聞き返したのも一瞬。
また口を塞がれる。



