──たしか、あれは2年生の4月頃。 放課後、誰もいない教室で俺は一人ゆっくりと皆が書いた自己紹介カードを眺めていた。 好きな食べ物の欄に“さつま芋”と書いてある自己紹介カードを見つけた。 ぷっと笑いがこみ上げた。 この教室で俺と同じ食べ物が好きな人がいるなんて予想外だった。 俺は素直になんだか嬉しかった。