初めて虎太朗と会ったのは、幼稚園の年少さんの時。
あまり記憶にはないけど、その頃のアルバムを見るとどの写真にも虎太朗が写っていた。

親同士も仲良くなってよくお互いの家で遊んでいた。

小学生になる前の春休み。
私と虎太朗はよく行く近くの大きな公園に遊びに行った。
そこでいつものように遊んで、一緒にお昼ご飯も食べて、また遊んだ。

2人でとても長い滑り台を滑ったあと、お気に入りの秘密基地のような場所があったので、そこに行った。
いつもここでは、ごっこ遊びをしたりしていたのだがその日の君はなんだか真剣な顔をしていた。
すると虎太朗が

「音羽のこと大好きっ!
大きくなっても僕と一緒にいてね。」

そう言われた。
遊びに行ったこととか、一緒にご飯食べたことは私が大きくなってから写真で知ったり、母から聞いたりして知ったが、その部分だけの記憶は鮮明に残っている。

その頃の私は恋愛的な「好き」という感情が分からなかったが、友達としては大好きだったから私も、

「私も大好き!」

と、今思えば恥ずかしくなるようなことを言っていた。

さすがに、まだ幼稚園児だからそう言い合っても何も関係は変わらず仲のいい友達のままだった。

そんなこんなで、私たちは小学生になった。

「虎太朗と同じクラスがいいなー」なんて思っていたが、違った。

2年生になっても違った。

3年生、

4年生、

5年生になっても違った。

その間、私はもう虎太朗のことなんて考えていなかった。
違う人を好きになったり、親友と呼べる存在の人ができたり。
とても充実していたと思う。


そして6年生になった。

クラス表を見て、虎太朗の名前を見つけた時、どこか嬉しかった。

でも、5年もクラスが離れればなかなか幼稚園の時のような接し方はできないし、どうしよう、、という不安の方が大きかった。

だから私はそんな感情を押し殺し、
「他の人と同じように接しよう」
と決めた。
それが一番あんぱいだと思ったから。


一学期が始まって少し経った頃、
席替えがあった。
そこで私と虎太朗は同じ班になった。
給食のとき、班で机を合わせて食べるから私は「これは虎太朗と話すチャンスだ!」と、内心嬉しかった。

そして席替え後の給食のとき、
虎太朗が急に話しかけてきた。

「なんか音羽変わったな」

その一言にすごく困惑した。
嫌な方に思われてるのかな、とか
なんかしちゃったかな、とか。

でもそんな不安を押し切るように

「服装とか性格とかめっちゃ変わってる!」

と言った。
さっきまでの不安を返してくれ!と心の中で叫びつつ、私は

「そりゃ5年も経てば変わるよ笑」

と返した。
この5年で私はたしかに変わった。
習い事もピアノからダンスになったり。
性格も極限人見知りから明るめになったりしていた。

服装に気づいてくれるのも嬉しかったけど、それよりも性格の面を見ていてくれたのがとても嬉しかった。

その後から私はどうしても、虎太朗のことが頭から離れなくなってしまった。

そんな状況になってから私はすぐに親友の美咲に話した。
恋なのか、ただ嬉しくて勘違いしてるのかわからなかった私は美咲に相談し、

「それは完全に恋だね」

なんて言われた。笑

自分の中でもその気持ちを認めるのに時間はかからなかった。
すぐ虎太朗のことを目で追うようになって。
美咲に聞いたところ、私は虎太朗に話しかけられると顔がニッコニコになっていたらしい。笑
それでよく好きって気持ちがバレなかったな、なんて思っていた。

こんなに早く好きっていう気持ちがバレたらやばいな、と思っていたのが嘘みたいにある出来事が起きた。