鉛を纏ったみたいな重苦しさに耐えられなくなった私は一時期自分を現実から切り離すことにした

人で賑わう風高明媚な街
普段の真面目でつまらない私のことを知る人なんて誰一人いない場所

普段しない化粧をして髪を綺麗に纏めて眼鏡を置いてホテルを後にする

眼鏡を置いてきたのはおまじない
目が合うと急な緊張感に苛まれてせっかくのコミュニケーションをとれないから
眼鏡なしでも普段生活する分には特に困らないし
おまじない

私は街へと繰り出した