ベルガモの棘

蓮の部屋で会う事になった。
 
蓮も先程まで

同僚と飲み会をしていたそうだ。

でもまだ飲みたらなかったのか

今から1人酒をする予定だったらしい。

さすが蓮、お酒に強いなぁ...


ーピンポーンー

蓮のインターホンを鳴らしてすぐ

〈まり!大丈夫か?〉

慌てて蓮が出てきてくれた。

「遅いのにほんとごめんね...」

そう言うと蓮は笑って

〈大丈夫さ、いつでも頼れよ〉

そう言ってくれた。


〈ビールでも良い?〉

私達はお酒を飲みつつ、話す事にした。

〈それで、どうしたんだ?〉

蓮は不思議そうにこちらを見た。

「実は好きな人が出来たんだ...」

ゴホッゴホッ

蓮は噎せてしまったようだ。

私変な事言ったのかな?

〈良いよ、続けて...〉

苦しそうにそう言った。

大丈夫かな...と思いつつ話を続けた。

「実はその人と今日良い雰囲気だったんだけど...あれ、なんでだろ」

なぜか涙が溢れてきた。
 
「ごめん、泣くつもりなんて
なかったのに...」

蓮はそっと私を抱き締めてくれた。

〈よしよし、好きなだけ泣いたら?〉

蓮は私が落ち着くまで

私の頭を撫でていてくれた。

ボソッ

蓮は何かを言ったが聞き取れなかった。

「何て言ったの?」

そう聞いても

〈別に...〉

少し紅潮した顔でそう言った。