ベルガモの棘

俺は夢を見た

沙織が俺ではなく

あの男を選んで

家に帰って来なくなる夢を

嫌だ、帰ってきて欲しい

声に鳴らない叫びが

頭の中で永遠と続いた

そんな時夢に彼女が出てきた

彼女は心配そうにこちらを伺っている

あぁやっぱり、

彼女はいつも俺の心を救ってくれる

夢だし良いだろう

もう我慢の限界だった...

俺は彼女を抱き締めた

彼女の暖かさが

夢であるのに伝わってきた

どうしてだろう

抱き締めて数秒後、

彼女は俺から離れようとした

男の俺には

そうとう勝てそうもない力で、

かよわくて守りたくなるような力で...

そんなに俺が嫌なのだろうか

皆なぜ俺から離れようとするんだ

俺はより一層抱き締める力を強くした

彼女を抱きしめていると

安心感があった

"もっと一緒にいたい"

心の底から思ってしまった