───本当に、そうだ。

私は『貰う』ことに慣れていなくて、『私なんか』と諦めてばかりだったから。
いつの間にか好意に対して素直になれずにいたんだと、改めて気付いた。

そうだ、大切なのは、きちんと受け取って、更に大きくした『気持ち』を返すことだ。

完全に納得した私は、力強く頷いた。

「──ありがとう、杏花さん。
この場合、遠慮よりも感謝が大事だね。

帰ったら、お礼言っとく!」

杏花さんは、嬉しそうに笑った。
そして、ボソッと呟いた。

「──でも、一番私に感謝するのは、きっと修兄だろうけど……」

「えっ、何?何か言った?」

「ううん、何でも。

あっ、お義姉さん、買った服は当日まで私が預かるよ。修兄には『お楽しみ』って言っといて!」


物凄くイイ笑顔の杏花さん。
何か企んでるでしょ?
修一さんが何か企んでる表情と、そっくり。

でも、私も杏花さんのイタズラに乗っておこう。楽しそうだし!

駅でサヨナラする時に、服の入った紙袋を渡して、その日はお開きになった。