〜side 都〜
披露宴、二次会、三次会と、大盛況に終わって、やっとホテルに戻ってきた。
今日、結婚式を挙げたのは私たちだけだったのもあってか、サービスでスイートルームに宿泊させて貰えた。
お部屋も広く豪華で、ベッドとお風呂には何と!薔薇の花びらが散らしてあった。
お風呂場で私が感動していると、修一さんが後ろからぎゅっと抱きしめてきた。
私は修一さんに軽く凭れて、腕に手を添えた。
「今日、本当にたくさんの人にお祝いしてもらって、ありがたかったですね」
「そうだね。本当に幸せな1日になった」
暫くそうしていると、修一さんの手が、私の服の下に入ってきた。
「...ちょっと修一さん、何してるんですか?!
いい感じに浸ってるのに!!」
「いや、皆の期待に応えようと思って」
「期待?」
「次は子どもでしょ?
少しの間、子どもに都を取られちゃうのは寂しいけど、子どもができたら都は俺の側を離れなくなるだろうし、ウィンウィンだね!」
嬉しそうに言う修一さんに、そういう理由ってどうなの?!と言うと、修一さんは真面目な表情で言った。
「嬉しいと思うよ。
自分が父さんと母さんを、より強く結びつけるんだ。
俺がそうだし」
「そうなんですか?!」
「父さんが、酔った時言ってた。
逃げられないように、すぐ仕込んだって」
私は思わず赤面した...と思う。
顔が熱いったら。
親子で、そんな生々しい話するの?!
「...次、お義父さんと会ったら、どんな顔したらいいの...」
修一さんは、澄まして笑った。
「うちはそれで幸せだった。
ずっと両親の仲も良かったし。
ちょくちょく、父さんは母さんにくっつきに行くんだ。父さん、ずっと母さんにベタ惚れだから。
母さんも、何だかんだで喜んでたし。
俺も、都とそんな夫婦でいたい」
ーーうん、それは、凄く幸せな未来図だ。
そんな話をしているうちに、いつの間にか私の服は取り払われ、修一さんも服を脱いでいた。
慌ててバスタオルに手を伸ばすが、そのまま手を引かれ、お風呂に導かれる。
「羽田さんには、許可取ってあるから」
「え?何の許可?」
不思議に思って聞くと、ニヤリと笑って、修一さんが言った。
「出産、育児休暇は、いつでも取っていいってさ。
いい年齢なんだから、頑張れって言われたよ」
〜〜〜!!
課長!!もうやだ、恥ずかし過ぎる!!
男同士って、何でそんな生々しいのよ...
頭を抱えていると、修一さんの声。
「都、皆で幸せになろう」
頭を上げると、凄絶に美しい微笑み。
その表情で、私は全てを許してしまう。
ーーだって、それは、幸せそのものの微笑みなのだ。
「...お手柔らかに...」
そのお願いは、きっと聞き届けられないだろう。



