「『私と 貴方は 他人です』」
「え?」
「ある人が、私にくれた言葉で…なの。
『私と 貴方は 他人。
だから、お互いにお互いの気持ちを思いやるだけでなく、伝え合わないといけない』って。
同じ人間でないのなら、完璧に気持ちを理解することはできないから、ちゃんと聞いて確認して、『この人は そう思うんだ』って、自分の中に一回入れて。
それから、それが良いか悪いか、好きか嫌いか、できるかできないか、判断しなさいと。
私、この言葉が大好きなんだぁ」
面食らう俺にニコッと笑顔を向けて、都は言った。
「お願い、修一さん。
良いことも悪いことも、一人で抱えたり隠したりせずに教えて欲しいの。
私も、伝えるのは苦手だけど、そうするように頑張るから。
二人で、一緒に受け止めて考えていきたい。
今回みたいなことも、どんどん言って欲しいの。
どんな修一さんも、嫌いになったりしないから。
—-あ、浮気とかしたら、流石に嫌いになるかな」
悪戯っぽく言う都の手を、思わず強く握りしめた。
知らず、歩くスピードが上がる。
——どうしよう、今すぐ抱きしめてキスしたい。



