距離感がおかしい、か。
俺は、なんとなく理解した。

「……性別をほとんど意識してないし、させない距離感とでも言うのだろうか。それのこと?」

尋ねた俺に、伊沢くんも頷いて見せた。

「そういう感じですね。

俺が傷つけたから、みやっちが『恋愛』を避けてるのかと思うと、居た堪れなくて。
何人か友人を紹介したんですけど、皆いい友達になってしまう。

でも、友達として、男達と過ごすみやっちは楽しそうで。

もう、恋愛面で、自分は役に立てないと思い知りました」


苦い笑みを浮かべる伊沢くんは、それを消すと俺を真っ直ぐに見た。

「だから、三上さん。
みやっちを、よろしくお願いします。

みやっちが、やっと見つけた貴方だから。

俺の罪悪感を消したいとかじゃなくて、みやっちには、本当に幸せになって欲しいんです」

深々と、頭を下げる伊沢くん。
俺は、ポンポンと肩を叩いて、頭を上げるように言った。


「言われなくても、大切にするよ。

でも、君の気持ちは受け取らせてもらう。
ここに居る皆、都を大切に思ってることは、本当によく分かったから」