嬉しくて、暫く修一さんの胸に顔をすり寄せて甘える。
こんなことも、素直にできるようになってきたなぁ……
そこで、ふと思い出して顔をあげた。
「あっそうだ、お洋服ありがとうございました!
杏花さんと相談して、素敵なのを見つけましたよ!」
「そう、良かった。
別に物で釣る訳じゃないんだけど、プレゼントとかデートとか、『都が喜ぶかも』って思うと止まらないんだ。
──嫌じゃなかった?」
私がすぐ遠慮することを知っている修一さんは、おずおず聞いてきた。
──その様子が叱られた子犬のようで、私は修一さんをぎゅうぎゅう抱き締める。
可愛い+ギャップ萌えコンボで、キュン死させる気ですか!!
「迷惑なんて、思うわけないでしょ!
凄く嬉しかったですよ!!
でも、私にも修一さんに何かプレゼントさせて貰えませんか?
杏花さんの結婚式で身につけるもの。
私も、私がプレゼントしたものを身につける修一さんを見て、安心したいです」
ちょっと拗ねたようにおねだりすると、修一さんは破顔した。
「くくっ、お見通しだったわけだね。
じゃ、お願いしようかな。
今度の日曜日に、打ち合わせの後で見に行こうか」
「はいっ!!」
私もきっと、幸せそうに笑っている。
どんな服買ったの?見せてという修一さんに、杏花さんに預けたことを伝えると、修一さんは『あいつめ……』と悔しそうに呟いた。
杏花さんの作戦勝ちだね!
そんな様子を見てひとしきり笑ってから、私は夕飯の支度を始めた。
修一さんはまだぶつぶつ言いながら、リビングから出ていった。
お風呂に行ったのだろう。
お風呂に入る気配がして、暫くしてからお料理の最終仕上げに入る。
──ああ、幸せだ、本当に。
慌ただしくて、迷って、少し疲れてブルーになって。
それすら、とても愛おしく感じるほど。
きっと、『人生最良の日』は。
これからずっと、日々更新されるんだろう。
そんな予感しかしない結婚なんて、きっと滅多にあるものじゃない。
私は、心の底から。
修一さんがこの世界にいてくれたこと、出逢えたこと、一緒にいれることを感謝した。
これから毎日、感謝しよう。
ずっと忘れずにいよう。
誰に誓うでもなく、でもしっかり誓ってから。
濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に戻ってきた修一さんに、笑顔を向ける。
一緒に入る時は長風呂なのに、一人の時は、本当に『カラスの行水』だ。
そこもまた、可愛くて仕方ない。
「今日は、修一さんの好きなおろしハンバーグですよ!」
ずっと、きっと。
今日の私よりもっと。明日の私の方が。
───あなたを、愛してる。



