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『あははは…”頑張ります”は良かったわ~』
『笑い事じゃないよ、関君は事前に聞いてたらしいけど、係長が私には言い忘れてたらしくて、いきなりだったし』

今日は同期の紗季を誘って、すぐ隣のビルに入っているイタリアンレストランでランチを食べつつ、先日の出来事をひとしきり愚痴る。

すぐ横の窓からは、今にも雨が降ってきそうなどんよりとした曇り空。

未だ今年の梅雨は、明けそうに無かった。

『でも朱音、3年目が新人のサポートにつくっていうのは、知ってたでしょ。うちらが新人の時もそうだったし』
『それは…そうだけど、うち(総務課)の場合は、関君がいるから二人とも見てもらえるのかと』
『それは甘え過ぎってものよ。いくら関君だからって、あの忙しさでさすがに新人二人の面倒見るのは大変でしょ』

既に注文した料理はテーブルの上に並べられ、それを食べながら会話が弾む。

『そういう紗季はどうなのよ、誰か見てるの?』
『あ、私?フフフ…私は免れたわ、うちはなんせ新人4人に対して、同期が6人もいるしね。まぁ女性がいれば、私だったのかもしれないけど』

紗季のいる営業部は、5つの課に分かれていて、新人もほとんど分散されて配属になる為に、新人の来ない課もあるらしい。

それに紗季のいる営業2課は、同期がもう一人いるから、紗季の番まで廻ってこないということのようだ。