『はい?』
『お前のところに、簑島から何か連絡ないか』
『ミラ…簑島君が、どうかしたんですか?』
『実は今朝、俺宛に少し遅れるって連絡があったんだが、未だに出社してないみたいだからさ』
『えっ…出社してない?』

咄嗟に少し離れた場所にある未来君の席を見て不在を確認し、時刻を見れば、既に13時を5分ほど過ぎている。

『なんだトレーナーのお前が、簑島が出社していないことも知らないのか』
『…すみません』
『まぁいい。一応連絡はあったし、無断欠勤というわけじゃない。ただ仕事をさぼるような奴じゃないだけに気になってな…とにかく、連絡取れたら俺に教えてくれ』
『わかりました』

主任が去る間にも、嫌な胸騒ぎは大きくなり、すぐに未来君の携帯に連絡を入れるも、コールが鳴り続けるだけで、留守電にもならない。

…まさか、出勤途中に何かあったのだろうか?

それとも体調不良で、自宅で倒れてたり…とかじゃないよね?

主任が言うように、仕事を投げ出すような子じゃないだけに、不安が募る。

『簑島君、やっぱり連絡つかない?』
『はい…コールは鳴ってるんですけど』
『ウッチーに、携帯じゃなくて家電の番号わかるか聞いてみようか』
『すみません。お願いします』

主任との会話が聞こえていた澤井さんも、心配して協力を申し出てくれる。

私…最低だ。

昨日からずっと自分の事ばかりで、未来君のトレーナーなのに、彼を気遣う余裕も無かった。