『初めまして。本日より、総務課に配属することになりました、落合那智と申します。一日でも早く仕事を覚えて、皆様のお役に立てるように頑張ります。よろしくお願いします』

『え~っと、同じく総務課に配属になりました、簑島(みのしま)未来です!あっ”みく”って女子だと思っていた方、ガチガチの男ですみません。未来と書いて普通に”みらい”って読みます。体力とスタミナには自信がありますので、どうぞよろしくです!』

7月の第2週目。

まだ梅雨の開けない最中、今年の新入社員が、3か月間の系列会社合同新人研修を終え、各々の部署にやってきた。

『というわけだから、みんな、自分たちの新人の時のことを思い出して、温かく優しい気持ちで迎えるように』

川越主任が、新人の紹介をし終えると、彼らがもう一度『よろしくお願いします』と、頭を下げ、課内は自然と歓迎の拍手に包まれた。

『総務課に男女で配属なんて、2年前の私と関君みたいだね』

拍手をしながら、隣に立つ関君に話しかけると、二人の様子をながめたまま、単調に返される。

『…俺らとはタイプが真逆みたいだけどな』
『それどういう意味?』
『見た感じの印象』

そう言われて、主任の横に並ぶ二人を見れば、女性の方は黒髪を後ろに一つに束ねただけで、若い女性にしてはあまりファッション性の無い細い銀縁の眼鏡が印象に残る真面目そうな感じ。

男性の方はそれに反して、少し明るい髪色を今時の短髪にスッキリ整え、常にニコニコと笑顔を振りまいている様子から、人懐っこそうな印象を与えていた。