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『なんだ、関君休みかぁ』

販売促進課の佐久間さんが、関君の不在を確認して、大げさに肩を落とす。

『明日は出社しますが、何か急ぎの案件でしたら連絡も取れますけど…』
『いや、いいよ。そこまでの急ぎじゃないから。明日出社したら、販促2課の佐久間まで顔出すように伝えて』
『わかりました』

週明けの月曜日。

週末の土曜に出張の入った関君と落合さんは、揃って振替の為にお休み。

月曜日ということもあって、朝から関君宛の訪問者が後を絶たず、こんな時いかに関君がみんなに頼られていたのかを実感する。

『今ので、今日何人目?』

澤井さんが、佐久間さんの後ろ姿を見ながら聞いてきた。

『えっと…3人目です』
『関君、明日来たら、各課を訪問するだけで終わるんじゃない?』
『確かに、そうかもしれませんね』
『全く、みんな関君に頼りすぎよね』

澤井さんが、同情するようにつぶやく。

関君への伝言メモを書き終え、反対側のデスクに廻ると、彼らしくきちんと整理整頓された机の上に、既に置かれたメモと重ならないように貼り付けて置く。

よく見れば、自分が受けたもの以外にも数枚の伝言メモがあり、澤井さんが言うように、明日出社したら、関君はゆっくり席に着くことはできないかもしれない。