その目には、見覚えがある。

一歩先を進む同期に対して、無意識に生まれてくる嫉妬や憧憬、焦燥感といったものが入りまじった感情。

…それでいて、エールを送るような眼差し。

未来君は、あの頃の…2年前の私に似ている。

『落合さん、頑張ってるね』

彼の心を乱さないように、静かに声をかけた。

『はい…アイツ、同期一の努力家なんです』
『未来君も負けてられないね』
『…朱音さん』

名前を呼ばれ、もう一度未来君を見れば、そこには既に、彼特有のいつもの笑顔。

『まだ”負けて”なんていませんよ、僕だってこれからです!』

力強い言葉に、未来君の決意が現れる。

『うん、そうだね!』

同じ部署に配属になった有能な同期を持つ者だけがわかる、複雑な感情の共通項。

未来君の”未来”に、自分を重ね、自然と応援したくなった。