『おいお前ら、ここは大学のキャンパスじゃないんだぞ』

声のする方を向けば、呆れ顔の川越主任と、その後ろに関君と落合さんが続く。

『お疲れ様です』
『主任!お疲れ様です!!』
『簑島、お前は相変わらず元気だな』
『まだ若いですからね、僕』
『それは30過ぎた俺に対する嫌味か?』
『まさか、っていうか主任、30過ぎてたんですね、もっと年近いと思ってました』
『はぁ…倉沢、お前の教育が足りないぞ』
『ハハ…すみません』

主任と会話しながらも、その後ろにいる関君の存在を意識してしまう。

とはいえ、当の関君も、その後ろの落合さんもこちらの会話には全く興味無さそうで、笑み一つこぼさない。

『主任、お時間では?』

落合さんが声をかけると、主任はすぐに反応し、腕時計で時間を確認する。

『ああ、そうだな』
『どこか行かれるんですか?』
『今から海外事業部の会議があってね、出席するのは関だが、この機会に落合君のことも紹介しておこうとね』
『海外事業部…』

未来君が隣でつぶやくのが聞こえた。