『あ、関君、お疲れ~』
『お疲れ様です』

関君とすれ違いで入ってきた内山さんと澤井さんが、去る関君を振り返りつつ、訝しがる。

『へぇ珍しい…関君、今、ちょっと笑ってなかった?』
『確かに!っていうか、関君もあんな顔することあるだね…萌だわぁ』
『澤井あんたね…って、倉沢ちゃん!?どうしたの、その顔!!真っ赤だよっ』
『ホント!熱?熱かも??』
『澤井、医務室行って体温計持ってきて』
『OK!倉沢ちゃん、待っててね』

バタバタと、慌てふためく優しい先輩達を前に、今はまだまともな返答も出来そうもない。

開け放たれた、給湯室の窓からは、近くの街路樹から流れてくる金木犀の香り。

夏が終わり、季節は次のシーズンへと移り変わっていく。

ゆっくりと…それでも確実に過ぎていく季節のように、私と関君との関係も動いていく。

きっと普通の人よりスローで、それでいて甘く、心地良く…。




sweet break Ⅳ ~Fin~