『あ…あれは、その…関君以外の人でも同じなのかと…』
『は？』
『関君じゃなくても、同じようにされたらドキドキするのかなと思って…そしたら関君にそうされる時に緊張しないように、練習出来るかなって…』

大真面目に力説するも、再び深いため息の後『…どうゆう発想だよ』と、更に呆れられてしまう。

『でもね、あんまり意味なかったみたい』
『…意味がない？』
『うん。未来君に同じようにしてもらってわかったんだけど、未来君だと関君の時と違って何ともなかった…っていうか、ドキドキどころか、正直ちょっと嫌な感じがして…』
『……』
『どうしてだろう？？』
『知るか。俺に聞くな』

そうつっけんどんに答えるも、何故か関君の耳が赤く見えたのは気のせいか。

『とにかく、簑島を使って練習とか、二度とするなよ』
『うん、わかってる』
『…それに』
『！！』

不意に、私を縫い付けていた両腕をグッと縮めると、触れるか触れないかギリギリまで身を近づけて耳元で、呟く。

『心配するな。お前が慣れるまで、いくらでも俺がつきあってやる』

そう言うと、さっき未来君が触れた場所を上書きするように触れてから、『執務に戻る』と言うと、そのままサクッと、執務室に戻って行く。