『ホントびっくりしましたよ。まさか朱音さんと関さんが、つきあってたなんて』
『未来君、声大きいっ』
『あ、すみません。皆さんにはまだ内緒でしたね』

未来君は慌てて声のトーンを大幅に下げてくれる。

執務室の入り口近くに備わっている、総務課の給湯室。

窓側の一面に沿って作られたハイカウンターで、未来君は立ったままアイスコーヒーを、私はハイチェアに座って自分専用マグにいつもの甘めのカフェオレを入れて、プチブレイク中。

先日、関君に借りてからその楽さを知ったからか、今週から自前のポロシャツを着用している未来君。

今日は、真っ白なそれだけに、ますます学生感が増していた。

『意外な組み合わせだよね。美女と野獣の逆バージョンで』
『そんなこと無いですよ。とてもお似合いです!』
『お気遣いありがとう』
『いや、本当ですよ?それに、お二人の関係を知って、僕はむしろ納得しました』
『納得?』
『なんか関さんって、何となく最初から僕に特別冷たかった気がして、何でだろうって思ってたんです。あれって、きっと僕と朱音さんの関係に嫉妬してたんですね』
『まさか!それは無い無い。関君の場合、誰に対しても一緒だから、未来君だけ特別だったわけじゃ無いよ』
『…そう?ですかねぇ』

隣で首を傾げる未来君に、『相手が私じゃヤキモチ妬く機会もないでしょ』と笑い飛ばす。

もし未来君の言うことが本当だとしたら、ちょっぴり嬉しいけれど、関君に限ってそんな感情など持ち合わせているわけがない。