毎度のことながら、会社以外の場所で会う関君は、何度会っても妙な緊張感が残る。

『本人の許可なく撮るのは盗撮と同じだろ…ったく、ちゃんと言ってくるだけイマドキの高校生の方がよっぽど常識あるぞ』

していたイヤホンをケースに収めながら、そう独り言ちる。

『高校生って?』
『さっきお前を待ってる間、JK二人組に撮って良いかって声かけられた』
『えっ!それで撮らせたの?ズルい!!』
『あほか、撮らせるわけ無いだろ…っていうか、ズルいってなんだよ』

咄嗟に出た本音をするどく拾われ、『な、何だろうねぇ』と笑って誤魔化すと、関君は大きく溜息を吐きながら徐に自分のスマホを取り出し、インカメラにしてから肩が触れそうな程に隣に立つ。

『そもそもお前は隠し撮りする必要も無いだろ』
『えっ』

伸ばした手の先にある関君のスマホから短いシャッター音が鳴ると、再び手元に戻して操作をすれば、直ぐに私のスマホが小さく震える。

届いたメッセージを開けば、たった今撮った二人の姿が収まってる画像。

相変わらずの整った顔立ちでカメラ目線の関君と、急に近づかれて、驚いた顔で関君を見る私。

バックには、ゆっくり暮れ行く赤紫色にグラデーションされている空が映ってた。

自分の間の抜けた顔はともかく、偶然の産物としては、案外素敵な写真になってる。

『言っとくが、待ち受けとかにするなよ』
『し、しないよ』

簡単に読まれた心の内側は、即座に拒否られる。