父は海を愛している人だ。

父が当時19歳のときから漁師になり、61歳までずっと海一筋だ。
そんな父が愛した魚釣りと海と船にさよならした日のことを私は忘れることはない。
私たち兄弟5人を父や母ずっと育ててくれた船が海から打ち上げられ、
壊されてる写真が姉から届いたのは学校が終わり、疲れて帰った夕方だった。
涙が止まらなかった。それは私だけではなく、姉も一緒だった。船が壊された後の父に会うのが正直怖かった。
その後父に会うと、私たちに背中を向け父はテレビを見ていた。
「船壊すの今日やったっちゃね。」私が先に父に話しかけると父は「うん。壊れたな。」と小さくつぶやいた。