真っ白なテーブルクロスが掛けられたこのテーブルも、椅子も、着飾った女性たちも、下心を隠してスーツを纏う男性たちも、嘘で塗り固められただらけの祭りだ。
私たちが小さな嘘を作り出すくらいどうってことない。
「理子はもうすぐ二十歳だし、飲んでもいいんじゃない?」
亜由奈はワイングラスをゆらりゆらりと動かす。渋みを帯びた赤い液体は右に左にグラスをなぞる様に小さな波を作り出していた。
BGMが大きくなり、「カップル発表まで少々ご歓談ください〜」とストライプ柄のスーツに身を包んだ男性が爽やかな笑顔を残してカーテンの奥でパソコンを操作し始める。
自己紹介カードは紙に記入させておいて、最終的なアンケートは独自のアプリを使って行うらしい。
街コン業界にも順位があるらしく、この「祇園」という会社が主催する街コンはここ数年の売り上げ、信用率、カップル率共に成績を伸ばしている。
裏でヤバい金が動いてるんじゃないかとかドラマのような会話を交わしていた参加者がいた。
それが今回ターゲットに絞った灰田直己だ。
32歳、独身。ゴルフが趣味とかなんとかって詳細なプロフィールは興味がないので忘れることにする。
理子からすると十以上も歳の離れた異性。金を搾り取るにはいい物件だけど、恋愛はありえない。
「はいっ、皆さま、たいっへんお待たせいたしましたぁ〜!カップルの発表です!
お手元のアプリを開いてくださいね〜!」
先程のストライプが戻ってきた。BGMはいつの間にかウェディングソングに変わり、アプリを開くと1匹のゆるいヤギのキャラクターが出てきた。
『あなたは26番の男性とカップル成立しました』
ヤギの手にしていた封筒から1枚の紙が開かれた。
『この男性と連絡先の交換をしてもいいですか?』
「理子、やったじゃん!ターゲット捕獲!」
隣から覗き込んでいた亜由奈が肩をたたく。
『はい』をタップすると、画面にIDが現れた。
このIDに直接メッセージを送ることで、相手とのやりとりができるらしい。
この街コンの人気の1つは、メッセージを送ることができるのは女性側からのみであること。
お互いが電話番号等の連絡先を交換しない限りアプリ内だけのやりとりで終わることもできるので、この食べ飲み放題が終わったあとはすぐに退会することもできるのだ。
私たちが小さな嘘を作り出すくらいどうってことない。
「理子はもうすぐ二十歳だし、飲んでもいいんじゃない?」
亜由奈はワイングラスをゆらりゆらりと動かす。渋みを帯びた赤い液体は右に左にグラスをなぞる様に小さな波を作り出していた。
BGMが大きくなり、「カップル発表まで少々ご歓談ください〜」とストライプ柄のスーツに身を包んだ男性が爽やかな笑顔を残してカーテンの奥でパソコンを操作し始める。
自己紹介カードは紙に記入させておいて、最終的なアンケートは独自のアプリを使って行うらしい。
街コン業界にも順位があるらしく、この「祇園」という会社が主催する街コンはここ数年の売り上げ、信用率、カップル率共に成績を伸ばしている。
裏でヤバい金が動いてるんじゃないかとかドラマのような会話を交わしていた参加者がいた。
それが今回ターゲットに絞った灰田直己だ。
32歳、独身。ゴルフが趣味とかなんとかって詳細なプロフィールは興味がないので忘れることにする。
理子からすると十以上も歳の離れた異性。金を搾り取るにはいい物件だけど、恋愛はありえない。
「はいっ、皆さま、たいっへんお待たせいたしましたぁ〜!カップルの発表です!
お手元のアプリを開いてくださいね〜!」
先程のストライプが戻ってきた。BGMはいつの間にかウェディングソングに変わり、アプリを開くと1匹のゆるいヤギのキャラクターが出てきた。
『あなたは26番の男性とカップル成立しました』
ヤギの手にしていた封筒から1枚の紙が開かれた。
『この男性と連絡先の交換をしてもいいですか?』
「理子、やったじゃん!ターゲット捕獲!」
隣から覗き込んでいた亜由奈が肩をたたく。
『はい』をタップすると、画面にIDが現れた。
このIDに直接メッセージを送ることで、相手とのやりとりができるらしい。
この街コンの人気の1つは、メッセージを送ることができるのは女性側からのみであること。
お互いが電話番号等の連絡先を交換しない限りアプリ内だけのやりとりで終わることもできるので、この食べ飲み放題が終わったあとはすぐに退会することもできるのだ。
