神様の初恋

「お前、何者だ！！人間ではないな」

太陽が男性を睨む。男性はゆっくりと顔を上げた。暗い海の底のような瞳がはっきりと見える。

「私の名は、黒沼（くろぬま）。何千年も前から生きる大蛇の化身だ」

「大蛇の化身？それが僕らに何の用なの？」

月夜の問いに、黒沼はやれやれと首を横に振る。そして「感の悪い小僧どもだ」と呟いた。

「私の目的はこの世にいる神々を殺すことだ。この世界や神の世界を制するのはこの私。そう思ってずっと神々を殺していた。そう、お前の両親もな」

黒沼の言葉に月夜は言葉を失う。そんな身勝手な理由で自分の両親は命を奪われてしまったのだ。

「まあ、ただ神を殺すだけでは面白くないな。いいおもちゃも見つけたし、そっちで先に遊ぶとしよう」

黒沼はそう言い、姿を消す。しかし月夜は安心することなどできなかった。嫌な予感に太陽を見つめる。

「兄上！黒沼が向かった場所なのですが、恐らく……」