「一瞬で楽にしてやろう」

黒沼はそう言い、剣を振り下ろす。優愛が「やめてください!!」と叫び、月夜は一瞬目を閉じた。しかし、全てを諦めたわけではない。次に開かれた目は強気なものだった。

「……僕はね、好きな人の前でみっともない姿なんか見せられないよ」

月夜はそう言い、黒沼よりも早いスピードで動く。黒沼のお腹を思い切り斬り付けていた。黒沼の目が大きく見開かれる。

「ッ!ガハッ!」

黒沼は赤黒い血を流し、その場に崩れ落ちる。月夜はゆっくりと立ち上がり、「僕は絶対に負けないよ」と笑う。

「クソッ!!」

黒沼は悔しげに叫ぶ。その体は黒い霧になって消えていった。

「優愛、大丈夫?」

月夜は優愛の縄を解き、優愛の体を起こす。優愛の顔は真っ赤に染まっていた。

「優愛?」

優愛がどこか恥ずかしそうにしているのを見て、月夜の顔も赤くなっていく。そして優愛はゆっくりと口を開いた。

「あの……さっきの言葉は本当なんですか?」

「さっきの言葉?」