神様の初恋

月夜は剣を空中から取り出し、黒沼に向かって走っていく。黒沼は「フフッ」と動じることなく笑い、月夜と同じように剣を空中から取り出した。そして、月夜の振り下ろした剣は黒沼に受け止められる。

「ううっ……」

「フフッ……」

互いに睨み合い、一旦二人は離れる。そしてどちらからともなく剣を振り下ろした。何度も剣がぶつかり合う。

「こんなことをして楽しいの?無抵抗な人間まで襲って楽しいの?」

月夜が訊ねると、黒沼は「ああ」と恐ろしいほど清々しい笑みを浮かべる。その笑みに月夜は恐怖を感じてしまった。

「……隙ありだな」

黒沼がそう言った刹那、月夜の肩に深く刀が突き刺さる。グラリと月夜の体が揺れ、その場に月夜はしゃがみ込んだ。優愛の悲鳴が響く。

「お前を倒す。そして私が世界を手にするのだ!!」

黒沼の笑い声がする中、月夜はゼエハアと息を大きく吸ったり吐いたりを繰り返す。肩からは血が止まらない。そして激痛が走る。こんなことを経験したことはなく、月夜は戸惑っていた。