ここならいいかな?


誰の迷惑にもならない。


「高さも…ちょうどあるしね。」


最近見つけたんだよね。


ここ以外いい場所は他に無さそうだし…


そう思いながら私はフェンスをのぼり始める。


「綺麗な景色ね…」


ここの下は森…誰の迷惑にもならない。


飛び降りようとした時だった。


「待てよ…はぁ、はぁ、はぁ…」


そこには


「ん?あんたは確か…」


「死ぬなって言ったじゃねぇーか。」


昨日の…


未雨の死ぬ直前に現れたのは璃羽都だった。


「別に私が死んでも誰の迷惑にもならないから良いの。」


「はぁ?何言ってんのお前。」


最後の最後がこの人か…


「あはははははは…」


神様も面白いね。わざわざ最後にこの人を私に会わせてくれるとは…


「何笑ってんだよ…」


「別に。ってかなんであんたはここに来たの?」


フェンスの上に座って聞く。


「ただ嫌な予感がしてここに寄っただけだ。」


嫌な予感…ね…


「ほんとにあんたは面白いね。」


「ってかなんでお前あんなに上から目線なわけ?」


ん?なんでって言われてもね…


「さぁ?」


神様…最後のプレゼントありがとね。


「じゃあ、そろそろ行こっかな。」


「はぁ?行くって…」


「地獄かな?自殺未遂も何回もしたし天国には行けそうにないや。」


「何馬鹿なこと言ってんだよ。死ぬなって言ったろ?」


「でも私は死にたいから。ここなら誰の目にも入らないし迷惑じゃないでしょ?」


じゃあね。


そう言って飛び降りようとフェンスの上にたった。


「待てよ!!俺の迷惑だ!!」


「はぁ?」


迷惑?アンタの?


「ここで死なれたら俺の迷惑だ!!ここは俺の取っておきの場所なんだよ!しかも夢見が悪くなるじゃねぇーか!」


夢見が悪くなるって…


「だからここで死ぬな!!」


「じゃあ…じゃあ、どこで死ねばいいのよ!!」


「お前の話聞いてやる。だからまず、降りてこい。」


降りて何を話すって言うの?


「私は話なんてない。」


と森の方に向き直る。


「待て!!」


「…ひさしぶりに美月以外と話したわ。思っていたより楽しかった…」


言いたいことだけ言うと私は飛び降りた。


「クソっ…」