【詩雨side】
「俺に未雨の事を教えてくれ」
未雨が連れ去られた後、俺は雷鬼の総長と言うやつに頭を下げられた。
お前に言ったって…何も解決しないだろ?
なんで教えなきゃならないんだ?
「お前に教えて何に…」
"何になる"そう言おうとした時だった。
「お願いだ。少しでも早く、あいつを…未雨を助ける為なんだ!!」
なんで?
なんでコイツは未雨を助けようとしてんだ?
意味わかんねぇ。
意味わかんねぇけど、コイツが本気なら…
未雨を助けられるかもしれない。
でも、なんで裏切りもんを助けようとするのか?
不思議に思い、俺は雷鬼の総長に聞いてみた。
「なんで未雨を助ける。別に助ける理由はねぇーだろ?」
「…」
ほら。すぐに黙っちまう。
どこの族もみんな…皆同じかよ。
「俺が未雨を助けたい理由?」
「そんなの必要か?」
今…なんて言った?
「理由がいらない?理由もなく、人助けをすんのか?」
「しかも、お前らにとって未雨は裏切り者。見捨てるのが当たり前だろ?それとも、助け出して痛めつけたいのか?」
俺は思っていたことを言う。
族に加入してる奴らだ。
そんな奴らに裏が無いわけない。
化けの皮なんざ剥がしてやる。
そして、一刻も早く未雨のとこ行かねぇーと。
「そうだな。理由もなく人助けをするのはおかしい…か」
と呟いて、雷鬼の総長は口を開いた。
「俺だって最初は、未雨を許せなかった。けど、未雨は理由もなく俺らを裏切るはずねぇーと思ったんだ。」
「未雨の本心は今でもわかんねぇ。けど、未雨が俺らと一緒に過ごした日々は変わんねぇーんだ。」
「それに…未雨は1回だけ笑ったんだよ。それは、心からの…本当の笑顔だと俺は思うんだ。だから、俺はもう一度その笑顔が見たい。」
「ただそれだけだ。」
そいつの理由はほんとにつまらないものだった。
