「ここは…」


当たりを見渡すために起き上がろうとした時だった。


「いたっ…」


右肩に痛みが走り、私は元の体勢に戻り手当された肩を優しくさすった。


そう言えば私…詩雨を庇って撃たれたんだっけ…


詩雨は無事…なのかな?


無事なら良いのだけど…。


と思っていると


ガチャ


ドアが開く音がしてドアの方を見ると


「肩は大丈夫か?」


咲夜が部屋に入って来た。


「…一応」


「それより、詩雨は無事?」


1番気になっていたことを聞くと


「多分大丈夫だと思う。俺らはあの後、未雨を連れてそのまま帰った。」


ってことは、璃羽都達も無事かな。


「良かった…」


と一息つくと


「未雨ごめんな。俺は、俺らは…」


突然咲夜が謝ってきた。


咲夜…


わかってるよ。


「咲夜は悪くないよ。」


咲夜も本当は悪い人じゃない。咲夜は霖也の言うことを仕方なく聞いている。


それも良くないとは思うけど、家族のためだから。


家族と引き換えになるものなんて無い。それは私が1番知ってる。


私だって…詩雨のためなら何でもするもの。


今回だって…詩雨のために雷鬼の人たちを私は売ろうとした。


「咲夜の家族は…まだアイツらに?」


「あぁ。本当は俺だってこんなことは…したくない。けど、家族の命がかかってんだ。ごめんな。」


「多分…普もそう思ってる。」


「うん…。普だって自分を責めてるんだろうね…」


普は弟妹の命と引き換えに、霖也の言うことを聞いている。普の両親は霖也たちによって殺され、普は4人の弟妹達を1人で世話している。


普にとっては弟妹たちが1番大事。だからこそ、霖也に奪われる=殺されるわけにはいかない。


最近わかったことだけど、ここにいるほとんどの人たちは霖也に弱みを握られているらしい。


つくづく最低な男だと思うよ。


アイツは。