二時間後、駆けつけた警備部隊は、島の北側の浜で、倒れている麗輝を発見、外傷はなく、無事救助された。

 高温に晒された島の南側の研究所一帯には、海水が流れ込み、巨大な湾となっていた。

 事件について、麗輝があまり喋りたがらなかったので、島を隆起させた休火山の噴火と言うことで公には処理された。

 やがて夏が終わり、秋が過ぎ、年を越し、温もりが訪れ、夏が焦がれる季節になり、事件が人の口に上らなくなった頃。

 いつもと変わらぬ日常をぼんやりと教室の窓際で、肘から先が滑らかな白い肌の左腕をさすりながら、麗輝は思うのだった。

 また、会えるだろうか、あの笑顔に。たったひと夏の僕の守護天使に……

              END