ここはどこだ?

 麗輝は、自分がどういう状態なのか、一瞬判らなかった。

 視界には滑らかな白い肌の背中が広がり、細かな呪紋が肌の表面を明滅していた。

 それ以外の視界は強力な光で満たされていた。

 音はよく聞こえなかった。

 気を失っている間にスタングレネードの音で麻痺したのだが、そんな事は感覚を遮断されていた麗輝には判らなかった。

 音も聞こえず、パニックになり、身体を反射的に起こした。

 バランスが崩れ、丁度、嵐の身体制御の呪紋の一時的麻痺と合わさり、彼の身体は、嵐の左肩からずり落ちた。

 胸の傷口に繋がっていた組織が剥がれる。

 すでに背中からの貫通傷は、嵐の細胞の一部が充填されて塞がっていた。

 くるりと世界が回ったように、麗輝は背中から地に落ちた。

「嵐・・・」

 仰向けになった状態で、嵐を見上げる。

 嵐はちらりと視線を向けるがその開いた瞳孔は何も見えてはいないようだった。

 すぐに、前方、湾曲した通路の先に、視線を戻した。

 その直後、それは内周壁を打ち抜いて飛来した。