サンディは、銃口のマズルフラッシュと共に飛び出してくる通常弾が回転しながら迫ってくるのを視覚で感じていた。

 この後の反応は予想がつく、恐らく、首をのけ反らせてぎりぎりで躱すだろう。

 ただし、感覚共有させられている状態で、そんな事をされたら、同じ速度で自分の首を反らそうと筋肉が過剰反応して、首の骨を自らの筋力で折ってしまうだろう。

 緊急パージコマンドの発動速度より、嵐の神経伝達速度の方が速い!

 サンディは、現実時間も共有しているハーフライド特有の、判っていながらどうする事も出来ない絶望感に染まった。

「あら、どうやら間に合ったかしら」

 それは、時系列を無視した声としてサンディの言語野に展開した。

 それと同時に、ひょいと指で摘むように感覚共有が切断される。

「佐織か」

 サンディの光速の呟きと同時に膨大な情報の塊が彼女の認識する情報空間に現れた。