サンディは、手持ちの戦術アタックデッキのハックツールで、そのノードを感じ取っていた。

 ノードの入り口はなんの事は無い、一般的な医療用プロトコルだった。

 ハーフライドしながらの全感覚突入でも、判るくらい単純な入り口だった。

 前線で行う戦術情報支援では、フルライドのCS全感覚突入は無防備になる身体の安全が確保出来ないので、サイバーサイド(CS)とリアルサイド(RS)の感覚の中間点を乗りこなすハーフライドが主流だった。

 ただし、ハーフライドはCSとRSの時間感覚の違いが大きくなるので、使用者の負担が大きくなる。

 現代戦において、フルライドでCS全感覚突入出来る佐織のような情報支援専門の隊員がいるのは、前線での情報共有支援を最高効率で行うのに必要不可欠だった。

 フルライドならば、RSでの時間感覚に縛られる事なく、CSからの情報支援を行う事が出来る。

 だが、指揮ユニットにいる佐織は、その大半の能力を施設のセキュリティを抑えるのに使っている。

 更に、この地下までは、太い情報ラインを引けないでいた。

 結局、前衛でやらないといけない訳だ。

 サンディはCSでの時間でゆっくりとぐちって、RSの時間で素早く前方の嵐に、照準を合わせた。