その夏は突然やってきた。

 激しい銃弾が、別荘の壁に拳大の穴をいくつも穿つ。

 必死に別荘の奥へ身を踊らせる。

 15歳の夏。家に隠りがちな彼に、祖父がもらしたあの一言が、原因だった

「九重島の地下には、古代の遺跡があるのじゃが、行ってみたくはないか?」

 想像力逞しい彼、九重家五代目、九重麗輝(れいき)は、1週間の日程で1人、島に来た。

 この島には、九重家の別荘があり、そこは麗輝の父が生前、研究所として使用していたものだった。

 今は最新の自動警備システムによって無人管理され、九重家の者でなければ排除される。

 1週間分の食料と生活必需品と共にヘリで、島に着いて2日目の昼過ぎ、EIG特殊工作部隊の襲撃を受けたのである。

 それがEIGにとって綿密に立てられていた事業計画上の襲撃である事など、たまたま居合わせた麗輝に知る由もなかった。