麗輝は、着弾のショックでのけぞった時、何が起こったのか理解できなかった。

 天井を見上げながらあの連中に自分が撃たれたんだと理解し、肺からこみ上げる物を吐き出しながら灼熱の痛みを感じ、少女にもたれるようにして倒れ込んだ。

 視界に、麗輝の吐血で紅に染まった嵐の顔が入る。

 その瞼が開き、吸い込まれるような黒瞳が暗くなりかけた麗輝の意識を射抜く。

「嵐……」

 もたれた彼女の胸の柔らかく暖かい感触を頬で感じながら、麗輝はその無表情な少女の顔が笑顔になったらどんなに素敵だろうと想像しながら、肺に残った最後の一息で呟いた。

 そのまま麗輝の意識は暗転。意識を失った。

 最後に見たのは、優しく包み込むような嵐の笑顔だった。