「回線切断したら、いきなりシステムダウンして、床が開くんだもんな。

マニュアルにはなかったけど、降りて来ちゃってよかったのかなぁ」

 その後、制御室がどうなったか考えも付かない麗輝は、薄暗い洞窟を先へ進んだ。

 岩肌がむき出しの洞窟は、天然のもののようだが、

等間隔で生体発光パネルが天井に張ってあり、肉眼でも充分移動できた。

 ただし、麗輝は三度ほど転んだが。

 洞窟は一本道で、大きな螺旋を描くかの様に下降していた。

 洞窟には、動力ケーブルも通っており、この先で人が活動していた痕跡となっていた。

 祖父の言っていた遺跡というのはこのことなのかな、

などと考えつつ進むと、出し抜けに広い空間に出た。

 途端に、何か強い光が、視界を奪う。

 何度か経験している生体スキャナーの走査線だと悟ると、閉じた瞼をゆっくりと開いた。

 一秒ほどでスキャン完了。

 視界が戻ると、天井の照明が空間を照らしていた。

 麗輝はその光景に息を飲んだ。

 地下洞に似つかわしくない、まるで病院のICUにあるオートメディカルの様な装置群や、

天井の隅にじっとしている光学系の自動防御システムでもなかった。