情報ネットワークがシステムに深く浸透している現在、全ての情報機器というものはMPUレベルで有線無線を問わず情報回線で高速ネットワークを形成し、ハイパーウェブを構成している。

 恐ろしく流動的だが、ほぼ完璧に情報統制が電子的に可能なので、成り立っているシステムだ。

 本来なら、電子的に閉鎖されたウェブに対してネットハックすることは、不可能に近い。

 多大な資金と時間を要する。

 今回はその資金と時間があったわけだが、そんなことは麗輝には関係のないことだった。

 麗輝にとっては情報機器はネットワーク上に存在しウェブを構成していることが必然で、そこから物理的に隔離された情報機器のMPUパワーなどたかが知れているしそれでは意味がないと認識していた。

 しかもそれが可能な機器があるのにも驚いた。

 最新のMPUである電神シリーズなど、MPU単体で互いにワイヤレス通信を可能にしている。

 その強力で高速な通信能力こそ雷電アーキテクチャの要である。

 その開発拠点であったこの場所に、その能力を殺す方法が準備されているのは何かの皮肉に感じとれた。