1895年。

 小笠原近海。突如海底が隆起し、周囲八キロの小島が出現する。
 発見者の名を取り九重島(ここのえとう)と命名。


 2000年。

 九重電脳技研から、画期的なハイパーマルチリンクMPU雷神が、発表される。
 雷神は、それまで成しえなかった高度なネットワークコンピューティングを実現し、一気に市場の70%を独占した。


 2010年。

 九重電脳技研は、追いついてきた他社のMPUをあざ笑うかのように、雷神の上位互換MPU電神を発表。
 50%に落ち込んでいた市場独占率を一気に80%にまで押し上げた。
 各社は非公開の雷電アーキテクチャの解析に躍起になったが、どうしてもその内部を覗くことは出来なかった。


 2012年夏。

 ついに最も過激な無国籍企業EIGは、2年前、電神を生み出した直後に閉鎖された九重島にある九重電脳技研第1研究所に特務工作部隊を送り込んだ。