「ゆりあ、あの人の噂知ってる?」
帰りのホームルームが終わり、愛菜が小声で、あたしの耳で聞いてきた。
「あの人の噂?」
「高畑くんだよ。小学生の時からモテモテらしいよ! それなのに彼女いない歴イコール年齢なんだって!」
「そうなの?」
小学生の頃からモテて、その上で人気ないとはどういうこと?
案外、女の人が嫌いだったりするのかな。
なんて思ったけど、まっ、そうでしょうね!
あんな無愛想な男、そりゃ一緒にいても安心もできないし、楽しくもないでしょ。
「絶対彼女いたことありそうなのにね。告白も全部断ってるらしいよ!? 中学の頃に振られた子、うちの学校にもいるって噂だし」
いやいや、告白されたりしてるんかーい!
あんなの、ちょっと知ったら告白する気なんか失せるだろうに……。
「何回告白されたことあるんだろうね……」
そう噂されているにも関わらず、例の高畑くんは全然気にもしないで教室から出て行った。
……ん? 今普通に、愛菜はポンポン情報を出していたけれど、なんでそんなにたくさん持っているんだろう。
「というか、それどこ情報なの?」
「結構みんな噂してるよ!」
え、あたし、そんな噂も聞かないぐらいのんびり過ごしていたんだ……。



