俺の宝物は、お前の笑顔。


「違うんだよ、ママ! これはね、デートとか、そういう意味じゃなくてね……」



「もう、どんな子なのよ、その男の子は。ママ、なんにも聞いてないのよ? 名前とか、なんでもいいから少しくらいは教えなさいよ〜」



ママは、完全に自分をコントロールできなくなっているみたい。



「いや、男の子って……宗馬だよ」



「あら、あの宗馬くん? でもいいじゃない、宗馬くん、小さい頃からすっごいいい子だったもの。ママ、宗馬くんにもまた会いたいわ〜」



そういえばママ、あたしが中学生になった頃から宗馬と会っていないね。


まあ、宗馬は運動部で基本部活には休みがなくて忙しかったから無理もないんだけど。



「そうそう、宗馬くんと、もう1人の子は?」



「え、も、もう1人?」



……まさか、高畑くんのことも話すの?
名前を言わないにしても、『あたしと隣の席の子だよ』なんて絶対言わない!


だって、あれだけ高畑くんのことに関してはママに愚痴を吐いたわけだ。


言ったら、ママ、ますます興奮するに決まってるって……!



「同じクラスで、宗馬のお兄ちゃんみたいな人!」



あたしは、そう言って部屋へ駆け込んだ。


間違っていない、間違っていない。


実際、高畑くんとは同じクラスだし、映画のことについて話している宗馬に対して冷静でいられている高畑くんは、お兄ちゃんみたいだったし……。