俺の宝物は、お前の笑顔。


声のする方を見ると、高畑くんの隣で宗馬があたし達に向かって手を振っているのがわかった。



「宗馬!」



「なあなあ、お前らアニメ見るだろ? せっかくだし、今度体育祭の振替休日だからこれ行こうぜー」



そう言う宗馬の手には、チケットが握られてあった。



「なにそれ?」



愛菜が不思議そうな顔をしながら、そのチケットを覗き込んだ。


そこには、『ランニングシューズ』と書かれてある。



「ランニングシューズ? 好きなんだ?」



「だってあれ、おもしれーじゃん」



『ランニングシューズ』というのは、今放送中のアニメのこと。


陸上部に入っている男の子が主人公となっている、学校生活の物語なんだよね。


少年マンガが原作なんだけど、女子や小さな子供、お父さんやお母さん世代の人などにも絶大の人気を誇っている。


そんな人気作品のことだし、宗馬は小学生の頃から本といえばマンガばっかり読むような子供だったから、ランニングシューズが好きでも全く不思議じゃないんだけど、今まで宗馬とこの話をしたことがなかったから、ついそう言ってしまった。



「面白いよねー」



愛菜がニコニコしながら、相槌を打っている。

へえ、愛菜も好きなのは意外だなあ。
愛菜は宗馬とは正反対で、マンガなんて読まないで普通に小説を読むタイプだったし。



「このランニングシューズの映画が今、公開中なのも知ってるよな?」



「そうだったっけ?」



ここんところ、アニメは見ていたけれど体育祭のことでいっぱいいっぱいだったからなのか、すっかり思い出せなくなってしまっていた。



「アニメ見てるんなら把握しとけよー」



「めんどくせぇな、お前はいちいち」



高畑くんは、いぶかしげに宗馬を見た。