「ただいまー」
あたしはドアの鍵を開けて、家の中に入った。
「あら、ゆりあ。おかえり」
声はするだけで、ママは玄関に来ない。
声のする方へあたしが近づくと、ママはキッチンでカボチャを切っていた。
「カボチャプリン作ってるの?」
「そうよ。愛菜ちゃんと宗馬くんも、今年も食べてくれるかしらね」
「絶対食べてくれるって!」
「愛菜ちゃんのママのアップルパイ、ママも食べたいわ〜」
ママの子供っぽい発言に、あたしは思わず笑ってしまった。
「愛菜ちゃんが来るのであれば、あの男の子も呼んだらいいと思うのに、来ないの?」
「あの男の子って?」
あの男の子、という単語じゃ全然分からないや。
愛菜と関わりがある男子といえば、まあうちのクラスとかの人を言っているんだろうけど、たくさんいるからなぁ。
「ほら、宗馬くんと愛菜ちゃんと、ゆりあと一緒に映画見に行った子よ」
あぁ、高畑くんのことか。
「あの人は、どこに住んでるかわかんないから。もしかしたら、すごく遠いところにいるかもしれないし……」
そう言いつつ、あたしが黙っていても宗馬が呼ぶ可能性も全然あるけどね。
あいつ、よく考えてみればクレープを食べたりと、割と甘いものが好きなんだろうし。



