俺の宝物は、お前の笑顔。


中学生の袖川さんは、何一つ当てはまっていなかった……というと、確かに中学では基本的どこの学校もメイクは禁止だものね。


だから目を少しでも大きくさせるためのメイクだって、できなかったんだ。



「ね、ねぇ……袖川さん」



あたしは、口ごもりそうになったけれど袖川さんにできることをしたいという気持ちが芽生えていた。



「カラコン、一緒に選びに行かない?」



「えっ……?」



気がつけば、袖川さんの真っ赤だった顔は元通りになっていた。

涙が、彼女の顔にまとわりついてキラキラと輝いている。



「親に反対されたとしても、自分の体だもん。したい理由とか、ちゃんと言えばきっと理解してくれるって! ……あと、そうそう。袖川さんは、あたしにマスカラ教えてくれるんじゃなかったっけ?」



「ま、マスカラ……?」



袖川さんはそう言いながら、マスカラを塗ったまつ毛をぱちくりぱちくりさせている。



「体育祭の時、袖川さん、あたしにおすすめのマスカラ紹介してくれるって言ってたでしょう?」



「あっ……!」



「お願いしていい?」



「も、もちろんですっ!」



なぜか、袖川さんは敬語口調になっている。


そのことに気がついて袖川さんもハッとなり、おかしくなって笑ってしまった。