俺の宝物は、お前の笑顔。


後夜祭が終わり、下校時間になった。



「健二」



このいかにも女の子っぽさがある、可愛い声には聞き覚えがある。


それに、高畑くんの下の名前は健二。

他学年はよくわからないけれど、あたしがこの学校で知っている限り、高畑くん以外に知っている健二という名前の男子はいない。


もし、その健二と呼ばれたのがあたしの知っている高畑くんなのであれば……。


そう呼ぶ相手も、あたしが知る限り1人しかいない。



『星野さん、よろしくね』



……袖川さんだ。



「あたし、あの時からどうしても健二のことを忘れることができません。あたしと、お付き合い、やっぱり無理でしょうか」



「無理」



袖川さんが言い終わったかどうかすら怪しいくらいに、きっぱりと断った高畑くん。


振られたのはあたしじゃなくても、なぜかこんなに胸がぎゅうっと押さえつけられた気分になるのは、一体どうしてなんだろう。



「うん……」



袖川は小さな声で、そう言った後に走り出した。


あたしがいたことも気づいていないんじゃないか、と思うくらいあたしを通り抜けて。